概要
企業分析シリーズ第4弾は、30期連続増収増益を達成している最強のスーパー、
「ヤオコー」さんです。埼玉県を中心に関東全域に169店舗を構えるスーパーマーケットです。埼玉がおよそ92店舗ということで、埼玉県人なら結構な確率で知っていると思われるこのスーパー。飽和状態ともいえるスーパーマーケット業界の中でもこれだけの増収増益を続けてこれるのは、いったいなぜなのでしょうか。
その強さを探っていきます。
◆2021年7月の情報
企業名 | 株式会社 ヤオコー | |
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HP | こちら | |
代表者 | 会長 川野 幸夫、社長 川野 澄人、副社長 小林 正雄 | |
カテゴリー | 小売業 | |
親会社 | ||
グループ会社 | 株式会社 エイヴイ、 株式会社 フーコット 株式会社 ヤオコービジネスサービス、 株式会社 小川貿易 |
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設立 |
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企業理念 |
生活者の日常の消費生活をより豊かにすることによって
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上場 | 済み | |
資本金 |
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本社所在地 | 〒350-1124 埼玉県川越市新宿町 1丁目10 番地1 | |
店舗数 | 169店 グループのエイヴイは12店舗 | |
従業員数 | 16,055名 (21年3月期) | |
売上高 | 487,189 (百万円) | |
営業利益 | 22,458 (百万円) | |
経常利益 | 22,211 (百万円) | |
自己資本比率 | 43.3% | |
時価総額 | 2,573億円 | |
PER | 17.3 倍 (平均は15倍) | |
PBR | 2.11倍 (基準は1) | |
ROA | 5.68% | |
ROE | 13.23% | |
配当利回り | 1.14% | |
平均年収 | 583万円 | |
ビジネス モデル |
リアル店舗のスーパーマーケットを展開する小売業 | |
ターゲット | 全年齢 | |
強み | チェーンでありながら個店経営、徹底した現場主義 | |
弱み | 低価格戦略、オンライン販売 | |
成長性 | やや行き詰まりを感じる | |
脅威 | 人口減少、デジタル化 | |
競合 | イオン、成城石井、ライフ 他 |
事業内容
チェーンスーパーマケット業態のヤオコーとEDLPを打ち出したエイヴイとフーコックからなる100%の小売業態。埼玉県を中心に関東各地に店舗を展開している。
自社グループの輸入商社 株式会社 小川貿易の輸入するワイン、そしてPBである「Yes!ヤオコー」と株式会社ライフコーポレーションとの共同開発をするプライベートブランド 「スターセレクト」とによる高い利益率を誇る。
他のスーパとの最大の違いは「現場力」。社員はもちろんパート・アルバイトも昇給制度があったり、社員研修制度の対象になったりするなど、全員体制が徹底しています。
かつ「個店経営」を重視しており、そのエリアに特化した需要などに合わせて仕入れを変えるなどができ、顧客満足度につながってリピーターを増やしています。
直近の業績
もともと32期連続増収増益を達成しているので、右肩上がりの図が並んでおりますが、
コロナ渦ボーナスによりいっきに利益を積み増した感じですね。
セグメント構成
セグメントはスーパーマーケットの小売業のみなので、セグメント別の表記はありません。
財務諸表分析
今後のリスク
決算書に記載のあるリスク内容で、個人的に気になった点をピックアップしてみました。
① 競合の増加と小売業一本足打法の不安定さ
スーパーマーケット業態は慢性的なオーバーストア状態ですが、ヤオコーもご多分に漏れずの状態。特に最近のEコマース傾向によりAMAZONや楽天などが競合になってきているのも驚異となっています。加えて、ターゲットが違うとはいえスーパーマーケット業態のみの1本足打法というのも今後のリスクになりかねないですね。
② 人手不足
こちらは以前から言われている内容ではありますが、記載がありました。確かに人で不足はありますが、セルフレジやシステム化促進の流れより、一時的な課題かなとも思えます。
③ 自然環境、気候変動、コロナなど感染症、人口減少
わりとマクロ的なことが盛り込まれていたのが印象的だなと思いました。
当然これらリスクはあらゆる業態に影響があるので避けられないリスクではありますね。
あとはどのような対策をとっているかが大事だとは思います。
成長戦略
決算資料によると、まず下記が目標に掲げられています。
・ 500店舗、売上高1兆円を長期の数値目標
・ 売上高経常利益率4%以上
・ 「2割強い店づくり」の実現 (価格対応などで地域シェア拡大し、2割売上を伸ばせるという意味)
これらを実現するために、下記が重要と読み解きました。
① ヤオコーウェイの強化
② EDLPの強化
① ヤオコーウェイの強化
「現場主義」や「全員参加」などヤオコーの強みとなるものを、ヤオコーウェイとして掲げてより推進していくことが伺えます。これまで成功してきたモデルですので、当然それを研ぎ澄ませるのは納得の戦略ですね。
② EDLPの強化
決算資料にはEDLPと価格対応の言葉が多く出てきます。これからの景気下落トレンドなどを見越して、価格戦略がキーポイントになるだろうとの戦略が見て取れますね。グループにいるエイビイの海老名店が成功しているようで、同様の戦略店を増やすため、フーコックなるものも作っているようです。ただ、ヤオコー本体自体も価格対応とのことで低価格路線を増やしそうな気配なのでカニバリを起こさないのか気になるところです。
社員 元社員の口コミ
コメントをみると休みが取れないとのコメントが多いですね。基本的に1年中営業している業態ですので仕方ないことですが、休みを回せるほどの人員を確保しきれていないように見えます。
一方で給与待遇や評価制度には満足といった声もありますので、仕事命であればやりがいも感じる職場なのでしょうね。
まとめ
今回はスーパーのヤオコーさんでした。
32期連続増収増益の実績は伊達ではないと思いましたね。
ただ、一方でスーパー業態の1本足打法にどっぷり浸かっているのと、成長戦略が安売り路線ということでしたので、これだと今後は消耗していきそうにも見える内容でした。いずれにせよ今後も注目の企業だと思います。