概要
企業分析シリーズ第6弾は、食品卸業界の売上規模NO1の企業である三菱食品株式会社です。 菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークの食品卸が合併して誕生した食品卸ですね。自社PBや輸入商品もあり商社の一面もある財閥系企業です。
それでは見ていきましょう。
◆2022年1月の情報
企業名 | 三菱食品 株式会社 |
---|---|
HP | こちら |
代表者 | 代表取締役 京谷 裕 |
カテゴリー | 卸売業 |
親会社 | 三菱商事 |
グループ会社 | 株式会社クロコ、株式会社エムシーフーズ 他 合計10社 |
設立 | 1925年(大正14年)3月13日 |
経営方針 |
3綱領1 所期奉公 |
経営目標 |
食のビジネスを通して持続可能な社会の実現に貢献する |
Vision |
次世代食品流通業への進化(サスティナビリティの解決) |
社長理念 | |
上場 | 上場 |
資本金 | 2,577,625百万円(2021年3月期連結) |
本社所在地 | 〒112-8778 東京都文京区小石川1丁目1番1号 |
店舗数 | |
従業員数 | 4,324名 (21年4月時) |
売上高 | 2,577,625 (百万円) |
営業利益 | 15,621 (百万円) |
経常利益 | 16,912 (百万円) |
自己資本比率 | 25% |
時価総額 | 1,212億円 |
PER | 14.36倍 |
PBR | 0.61倍 |
ROA | 1.7% |
ROE | 6.7% |
配当利回り | 2.5% |
平均年収 | 667万6155円(※2017年3月決算) |
ビジネス モデル |
食品&酒類卸、輸入 |
ターゲット | 小売店、飲食店、2次卸店 |
強み | 物流網、マーケティング力 |
弱み | 低利益率 |
成長性 | 投資内容次第 |
脅威 | ドラスティックなDigital環境へのシフト |
競合 | 伊藤忠商事、国分株式会社、三井食品株式会社 |
事業内容
国内外の加工食品、低温食品、酒類及び菓子の卸売を主な事業内容とし、さらに物流事業及びその他サービス等の事業活動を展開しているとのことです。
直近の業績
業績はきれいな決してキレイに右肩上がりになってはいません。
コロナに関してはどちらかというと悪影響となっているようですね。
また、2022年3月より会計基準を企業会計基準第29号を適用しているようです。
また、2018年より現預金が大幅に下がっていますので、キャッシュ・フローを見ると、、、
やはり投資CFが大きくマイナスになるので、設備やDX関連に継続投資していると思われます。
セグメント構成
セグメントについては食品卸になるので、食品についてが加工と低温合わせて68%と大部分を占めていますね。
次いで酒類と菓子事業となっています。
財務諸表分析
これを見て驚くのは利益率の低さです。約0.6から0.7%が続いており、この業界の厳しさが垣間見えます。
とはいえ、もともと食品卸の経常利益率は1%前後なので平均よりやや少なめといったところなんですね。
今後のリスク
決算書に記載のあるリスク内容で、個人的に気になった点をピックアップしてみました。
① 低利益率の改善
これは事業等のリスクで記載されてはいませんが、随所で見られる内容でした。
根本的にある低利益構造がネックになる可能性はあります。
「経営方針2020」でも定量目標に経常利益率1%の早期実現を掲げていたあたり、この1%が以下に大きい壁かが読み取れます。
② 固定資産への投資
生産性向上や拡大における投資を継続しており、社会構造の変化で一気に減損しかねない点に触れています。
これは確かにそうですね。業界は大きく変化していく中で、どこに注力投資するかはかなり難しいです。
成長戦略
中期経営計画を見ると、重要素として下記を強調されているように思えました。
SDGsをベースとするサスティナビリティ重点課題と利益率向上の同時達成
昨今のSDGsの流れはきちんと考慮に入れているようですね。その上で、上記を達成するために下記を行っていくようです。
・ DXによる業務効率化
・ 食を起点としてた多様なパートナーとコミュニティの活性化
これによりCO2の排出量削減、食品ロス削減、健康に資する商品の拡充を図っていくとのことです。
割とふわふわっとした表現が多い印象ではありますが、SDGsへの対応は1企業だけで具体的にやっていくのも難しいので仕方ないのかも知れません。
社員 元社員の口コミ
コメントを見ると、やや企業風土が古いなどの印象がありますが、女性が働きやすい環境も意識的に作られているようなので感じ方は個人差がありそうです。あとは、将来性を見たときになかなか成長できないのではないかと言う意見もよく見られました。大企業であるが故に大きな成長は期待できませんが、安定はしていると行った印象です。
まとめ
今回は食品卸の三菱食品株式会社さんでした。
業界大手ということもあり安定はあるものの、利益率の低さや成長戦略を描くのに苦戦している印象を感じられました。
時代がDX化されればされるほど卸業の役目がなくなっていく傾向にあるので、物流を強化したり、DXを提供する側に回ったり、ファブレスメーカー的動きをしたりと、卸業の今後を考えさせられました。
未来の卸業として今後も注目していきたいと思います。